オマージュ?/Giton
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宮澤賢治の長詩「小岩井農場」は、「ベ」氏のあの第6交響曲に着想を得ていると批評されることが多い。作品「春と修羅」は第5交響曲、「小岩井農場」は第6交響曲だと云うのだ。
じつは、私はあまりそうは感じない。だいいち、「第6」は第5楽章までしかないのに、「小岩井農場」は「パート九」まである。「第6」は、激しい嵐に見舞われた後、雨後のすがすがしい陽光の中で終結するが、
「小岩井農場」は、「わたくしの感官の外で…そそいでゐる」「つめたい」雨脚に濡れながら、「わたくしはかつきりみちをまがる」という不可解な文句で突然終わる。
ちっとも似ていないではないか…
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しかし、「第6」ということ
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