オマージュ?/Giton
 
だ。
その圧倒的な“自然”の力、いや、“大地の息吹き”とでも言うほうが近い、それは、賢治の《心象スケッチ》には、つねに、間断なく感じられるところのものなのである。
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*(注) スコアの〔B〕(93小節目)〜。〔H〕(372小節目)〜。
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宮澤賢治という人は、「詩」が嫌いだった。「詩人」という鼻持ちならない人種が大嫌いだった──これは、おそらく間違えのないところなのだ。
自費出版した生前唯一の「詩集」の背に印刷された「詩集」という文字を、彼は銅の粉を擦り付けて執拗に抹消してから売りに出していたほどなのだ。
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少年時代の賢治にとって、短歌は日記に代わるものだった。つま
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