あずきの恋人 (連載?)/たま
 
前足でこすって、部屋のなかに入れてくれってさいそくしている。わたしは窓をあけてイチローを入れてあげた。
 アー、アー、アー……。
 イチローはいつも、猫じゃないみたいな声で鳴いた。
「イチロー、おなかすいたの?」
 アー、アー……。
 イチローはテーブルの椅子にちょこんとすわって、わたしの顔をみてまた鳴いた。まるで、わたしとこの飼い猫みたい……。
「ねぇ、イチロー。おかあさんにナイショでソーセージあげるから、今日はわたしのモデルになってね。」
 イチローはあまり感情を顔にださない猫だから、絵本のなかのイチローもみな、おなじ顔になってしまう。だから、ストォリーが思い浮かばないのはきっと
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