あずきの恋人 (連載?)/たま
 
おかあさん、ひとりでだいじょうぶ?」
 車のカギをおかあさんの手のひらに、ぎゅうっと、おしつけて聞いてみた。
「うん、ありがとう。だいじょうぶよ。じゃあ、いってくるわね。」
「うん……。」
 玄関の前でおかあさんの車をみおくった。おばあちゃんは車の助手席から、わたしに手をふってくれた。おばあちゃんはだいじょうぶかもしれないなぁ……。わたしはちょっと安心した。

 玄関にカギをかけて二階の部屋からスケッチ・ブックと、絵の具と、筆と、えんぴつをもってきて、わたしは台所のテーブルで絵本を描くことにした。台所はクーラーが効いていてとても涼しいから、絵本に集中できるし、午後はイチローが家にやって
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