あずきの恋人 (連載?)/たま
「あずきー、ねぇ、あずきー。」
おかあさんがわたしを呼んでいる。
わたしはいま、絵本を描いているところだから、おかあさんの用事はなにもできないことを知っているはずなのに……。
ぱた、ぱた、ぱた……、って。
スリッパの音がして、おかあさんが二階にやってきた。
「あずきー、おかあさんねぇ、これからおばあちゃんをお医者さんに連れていくから、下の部屋で留守番しててちょうだい。ね、わかった?」
「えっ……、おばあちゃんどこかわるいの?」
「うん、ちょっと血圧がたかいみたいなの。帰りはおそくならないと思うけど、おとうさんにも電話しとくから、あずきはお留守番してて。ね、たのんだわよ。」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)