趣味について、または詩について/まーつん
 
で、゛今の自分゛という人間の価値を量っていた。自分は偉大な表現者だと、心底信じられるくらい思いあがっていた、ということもある。

 若かったからだろうか。馬鹿だったかもしれないが、冷めてはいなかった。臆病だったかもしれないが、痛みを知っていた。今はどうだろうか。馬鹿なのは相変わらずだが、我が手の書き綴る言葉は、冷えたスープのように味気なく思えることが増えてきた。相変わらず臆病だが、痛みを避けるすべは学習しつつある。だけど、その代償に、何かを見逃しているような気もする。手放しているような気もする。何か大切なもの、価値あるもの、コックが熱い料理を供するのに欠かせない要素。

 それはなんだろう
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