宝籤/はるな
していることがあるとき突然わかった。それはただ、何ものにも関係なく存在しているのだと。それがわかったあとで、部屋に窓があらわれた。窓は、まぎれもなくわたしが欲したのだ。そして、扉を開閉できるようにもなった。
それから、海や空をみた。長いあいだ、知っているだけだった多くの物事に出会うことができるようになった。つめたさや、暗さを、しみじみと覚えることができる。ひとが、たくさん生きているのだなと思った。
宝籤は、ほんの赤ん坊だったのに。宝籤は雑種の捨て犬なので、どのくらい大きくなるのかがよくわからない。ころころと足の短いころには想像もできなかった、下腹から後ろ足にかけてがきゅっとくびれて
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