風の息吹 /服部 剛
なぜ彼等はあの日、自ら日々の線路を下りて
漆黒の闇の彼方へ堕ちていったのか――?
地上に堕ちた天使等は、時に
ふたたび空へ舞いあがってゆくだろうか――?
地上に遺されたひとりの僕は
早すぎた彼等の生を思念するほど
漆黒の闇には只
白い ? の文字が浮かぶのだ
透きとおった天使になった者達よ、どうか――
かつてあなた達が暮らしたこの世の日々に
風の息吹を贈ってください
あなた達の息を
魂の器に吸いこむ時
私達は「人間の色」を取り戻すだろう
日々のさりげない風景に立つ
一人ひとりの役者として
織り成されてゆく
あの物語のために――
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