『生血』/あおい満月
わたしはまだ、
本当の血を流していない
わたしの足元から
見えない厚い雲が
ゆっくりと動く
雲と呼吸を合わせると
静かに痛む、
嘗てのわたしの部屋
大きな流血の予感がする
雲が日射しを遮りながら動く
太陽は雲を切断しようと切り込む
鍵の掛かった
わたしの部屋が開きはじめる
そのなかには誰もいないはずだ
*
誰もいないはずの部屋の
リビングの安楽椅子に
わたしが座っている
わたしは深く目を閉じたまま
赤い毛糸玉を抱いている
髪のうえに雪のような
白いものが積もっている
朝陽がさすと
椅
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