雨の子/月乃助
 
{引用=
冷たい
雨がふりだした
雨宿りする安らぎの軒は、どこにもなかった


若いものは 走りだし
きた道をもどり始める にぎやかな娘たちも
年老いたものは 天をあおぎ
荷を背負ったものは あきらめの 重い足取りをすすめる

どこかにする 天をののしる叫び

私は、もうぐっしょり濡れそぼり
雨を想う


 その旅のはじまり や 質量とか水の分子の組織
原子をつなぐ約束ごと
まだみぬ18番目の素粒子をかさねたり
それが、創成の意志をやどすものと確信したり


 赤い傘をさした少女が とおりすぎていく
ふりむいた 小さな子の
指差す先、、



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