自家中毒/
そらの珊瑚
記憶はなにを食べて生きながらえているのだろう
指先から冷えていくのを彼女はまだ気づいていない
埃を吸ったあとの掃除機をそっと抱きしめる
モーターの余熱が伝わって やっと明日につながる
冬のプラグは凍りついている
記憶は貪欲に食べ散らかすのだ それが他人の瞳であっても
どこかで遠くサイレンの音
彼女は包まれてラードになる
フライパンの中で溶けていく
境界線が発熱を繰り返し 嘔吐する
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