アルビノ/そらの珊瑚
どこにも代わりのない
私だけの詩を描いてみたい
心のなかのもやもやがそう言う
私という存在が唯一無二のものならば
出てくる言葉もそうであるべきなのではないか
そうではないということは
私はもしや代わりのきく存在なのではないか
どこかで誰かと入れ替わったって
気づく人はいないのでないか
透明の私に
小学生の頃
白いうざぎを飼っていた
ある朝 脚から血を流してぶるぶる震えていた
おおかた鼠にでも襲われたんだろうと父が言う
それからほどなくしてうさぎは死んだ
うさぎの世界は永遠に赤い
あれは血管が透けてみえるせいらしい
うさぎ
覚えているよ
私にとってうさぎといえば
脚に包帯を巻かれ、赤い世界で生きて逝った哀れなおまえだけ、なのだから
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