冷たい銃弾/Seia
頬が冷たい そして
固いものに触れている
頬だけが冷たいのかと思っていたら
なんだか全身が冷たい 濡れている
雨だ
雨が降っていたんだ
霞んでいた目がようやく
輪郭を取り戻しつつあるなか
石畳の上に寝ているという事だけが
この目に見えている現実だった
いや
現実かどうかすら
唐突に
耳に指をねじ込んで
「ばーん。」
と言ってみた。
反対側の耳から出てきたのは
ろ過された雨だろうか
それとも銃弾だろうか
濡れたまま
空を見上げる私は
どうしたって
みすぼらしい
そして腰が痛い
やがて雨は、みぞれに変わった
残念ながら、銃弾ではなかった
この後みぞれは何に変わるのだろう。
雪か、それとも。
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