インド人 吉田  (前)/salco
 
土真宗、母方は真言宗であるが、日本の仏教徒は生涯数度の葬
儀と、年ふるほどにぞんざいな年忌法要で発作的に関わるだけなのだそう
だ。葬儀屋のメニューを前に戒名について今生と来世の格差をひと時悩む
信徒ではあれ、信仰自体にこだわりがあるわけではないらしい。

 窮しているところへ、父方の縁戚にとある新興宗教に走った女性が一名
いると判明した。
 一九六〇年代、非常に熱心な勧誘活動と選挙支援を展開した為に鼻つま
み者となり、その甲斐あって後年は地域の支部長にまで昇格し、信徒の通
夜告別式には故人と面識もない大勢を引率して会場の半分と読経を占拠
し、親族席と一般会葬者を威圧する大任に在ったという。
 これをブラフミン相当の証立てとしたため、どこぞの国家元首と並んで
微笑む教祖の記事を週刊誌からひっぺがして送ってやった。


注釈
(1)人名のマラーティー語はでたらめ。
(2)ダリットの裸足 … 公道や上位者の敷地にかかる場所では、敬意を
             表して履物を脱ぐ。


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