『鎖』/あおい満月
 
あたしの爪が赤いのは
マニキュアを塗ったからではなく
あなたの身体を突き刺した血で赤いのだ

あたしはいつも
爪に尖った金属をつけている
あなたとこの身を交わすときは

ある日、
あなたのなかに違う誰かの影を見たとき
あたしははじめて
突き刺したい衝動にかられた

月の光に鈍く輝く金属の爪で
あなたを思いきり殴りつける
鮮血が吹き出しても
あなたの瞳は変わらない
こうなることを
待っていたように



朝、
あたしはバスタブで
あなたの傷をゆっくり舐める
苦しくても愛しいもの
それがあなたという
あたしの子どもだ

金属の爪が錆びている
それはあなたの血潮が
あたしを離すまいと
繋いでいる鎖のように

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