【HHM参加作品】ぼくらはみんな詩んでいる!??草野心平「冬眠」を音読するために/香瀬
のようなメロスも、最後の場面で真っ赤に染まります。処刑までの期限である日没は、一日のうちでもっとも世界を赤く染める時間帯だからです。
さて、日本語の「色」にはその人の様子や存在の意味もあります。赤という強烈な「色」で男三人が友情を確認して幕を下ろす本作ですが、本作では「色」を奪われた人物が二名います。メロスの妹と最後にメロスにマントを手渡す少女です。妹は結婚式を早められたことに「頬をあからめ」ますが、その感情をメロスに「うれしい」と決められ、少女の「緋のマント」は、その意図をセリヌンティウスに「口惜しい」と決められます。このような女性の発言を奪い男だけで友情という名の閉鎖的な連帯感――ホモ
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