【HHM参加作品】ぼくらはみんな詩んでいる!??草野心平「冬眠」を音読するために/香瀬
 
けるメロスの熱情をも読者に想像させます。

 このメロスと対置されるように描かれるのが暴君ディオニス。彼は人を信じることが出来ず、また彼の顔面には深い皺が刻まれ蒼白であったと書かれています。「走れメロス」は、信実を象徴するメロスの熱情的な走りと、親友セリヌンティウスとの友情を果たす姿に、ディオニスが強く心を打たれ人を信じる心を取り戻す、というのが大まかな筋ではあり、顔面蒼白だったディオニスが「顔をあからめながら」最後にメロスとセリヌンティウスの抱擁に近づいていくことからも彼の変心がカラーイメージとして明示されていることが読み取れます。

 ディオニスのように対置されるもう一人の人物が親友セ
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