光冨郁也詩集『バード・シリーズ』あとがき/葉leaf
が受け止められ、詩的生命が、それらとかつて吸われたものどもを変換して、呼気とともに彼の詩が生まれる。彼の詩行の簡素な打楽は、彼の普遍的な呼吸を、彼の普遍的な生命を、忠実になぞっている。光冨は決して呼吸を荒げることがない。だから、光冨の詩を貫くのは、空間を刻む呼吸の機械性であり、生命の機械性である。
引用部を読めば分かるとおり、光冨の感覚には無駄な修飾すなわち過剰な認識が入り込まない。事象は修飾によりぼかされることなく、ありのままに近い状態と鋭さで読者に譲り渡される。そして、修飾や情緒により詩行を生み出す呼吸が乱れることもない。呼吸はあくまで淡々と滑らかに空間の中に居所を穿っている。
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