言葉の彩/黒ヱ
 

「いろでもいい あやでもいい」

凍った花弁に 想いを寄せて
人肌が恋しくなる程の 凍てつく夜

「ああ、もうこの夜は寒いなあ」

夜空は澄んだ 点が黒に細々と浮かんでるだけ
波打ち際は冷めたように 音を鳴らし続けている

「そう思えば そんなこともあったかしら」

箱は走る その中では寄り添っていた
二人で見ていた景色 一人ではもう 思い出せない

氷が溶けてしまう

「貴方に名前を付けてほしい」

もう剥離した 戻らぬ思い出の淵で
貴女が手を振る

笑顔で
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