雨粒/そらの珊瑚
 
ふりだしはかろやかにはじまる

 雫が落ちてきた
 まどろんだ鼓膜の扉をたたく音
 あれは雨の歌
 いたづらに
 たのしげに
 むてっぽうに
 今日というちっぽけな空洞を響かせる

旅人の歌 最後はいつもせつない

 あの雨粒は きっとわたし
 ほんとうは 歌など知らない
 また海へ還って ふりだしからはじめるだけ



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