更地のひまわり /
服部 剛
体の無い死者が描いた絵を
体のある生者は、額縁に
重ねるだろう
生者の描いた絵は
死者が透きとおった額縁に
重ねるだろう
震災から一年後
旅人の僕は石巻で
津波に家々の全てを流された
まっさらな更地に立ち尽くし
あの日
無数の魂が吸いこまれていった
灰色の空を見上げていた
五ヵ月後
夏の青い空の下
同じ場所に立った僕は
かまえたカメラのレンズを、覗く
不思議なほどに明るい顔で
風に揺られるひまわりは
しきりに、何かを云っている
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