夢のつづき /服部 剛
う―愛すべき者全てに」 *
門の前で片膝をつき
閉じた瞳に、涙を潤ませ
あの頃と変わらぬ夢を求め
両手を組み合わせる
さわさわさわ・・・
玄関脇の松の葉が歌い始める夜に
吹き抜ける柔らかな風が
僕のからだを包み
玄関にぼんやりと立つ
まぼろしの青年と、目があった
19年前にこの家の中で
お線香をあげた後
「これ、豊が実家にいた頃渡した短歌だよ」
お父さんが一筆箋に綴って
手渡してくれた言葉
「児よ吾児よ
退きて易きに往くなかれ
思い定めし、道険しとも―」
星空を仰いでは、自由になれた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)