儚い。/元親 ミッド
 

目覚めてはすぐに揮発してしまうのだ。

まるで開封したアルコールの瓶のように。

そうして、なんとか思い出そうとしてみるのだが

揮発した夢は、あたりにその香を漂わせるだけで

どうにもこうにも思い出せぬものなのだ。



でも、それでも

人は、その人生において、ことあるごとに夢を見る。

それぞれの季節に、それぞれの夢を。

きっと

夢は、儚いからこそ美しいのだ。
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