ウイスキーがお好きでしょ?/元親 ミッド
乾いた唇をアルコールが潤すと
孤独の味が口の中一杯に広がった。
傾けるグラスは
ほの暗いカウンターで
時折澄んだ氷の音を響かせると
その度に
弾ける花火のような
甘美なキヲクを蘇らせる。
人の悲しみは
知る幸せの分だけ深いのだ。
であるのなら
きっとキミは
俺になんて膨大で
なんて深い幸せを教えてくれたんだろうね。
グラスをコトリとカウンターに沈めると
ポロポロとあたたかな雫が同時に落ちた。
マルボロの煙がしみた。
アルコールは裏切らない。
アルコールを愛さずにはおれないのだ。
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