午前三時/渡 ひろこ
地図を広げて電話を片手に話している
相手は叔父だ
ある地名の場所がわからないという
三文字の漢字で表す地名
「興味の興、という字がつくの?何?聞き取れないの?」
歳老いた叔父の声はしゃがれ、耳も遠い
苦しげに何度も聞き返す叔父を気遣い
「調べてからまた電話するね」と電話を切ってふと顔を上げると
ソファーに母が座っていた
風呂上がりで上半身裸だった
重たげな乳房を晒し 肉付きのいい二の腕
青白い肌から水滴が流れてる
「珍しいことに叔父さんから電話だったよ」と声をかけると
それには答えず、頭が痛いと言う
目を落ち窪ませて、握りこぶしで自分の頭を押さえている
頭痛の
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