家族 /服部 剛
駐車場に停まった
車の助手席から眺める
スーパーの硝子の向こうで
ベビーカーを押しながら
おむつを買っている、妻の姿
長い間、出逢わなかった
二つの道が一つになっている
不思議を思う
親父と母ちゃんのいる
実家を離れて初めてしみじみ・・・
不思議を思う
かれらの住むあの懐かしい家が
何処かの小島に視えてくる
一年前はいなかった
〇歳のいのちは
妻の押すベビーカーの中で、今
どんな夢を見ているだろう?
ふいに目をやったサイドミラーに
一日の仕事を終えて、緩んだ
ひとりの男の顔が映る
スーパーの自動ドアが左右に開き
紙おむつで膨らむビニール袋をぶらさげて
妻がベビーカーを押す音が近づいてくる
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