『投影』/あおい満月
 
針穴に髪を通す
布地にぷすぷすと縫いつける度に
疼きだすわたしの心臓
心臓にもぷすぷすと
穴が空いている
踞るうちに
ぷすぷすと血飛沫を上げている胸を
押さえながら刹那に見た幻は
わたしがわたしの心臓を
唄をうたいながら縫いつけている姿

おうたをわすれたカナリヤは
あかいお糸でくるくると

気がつけばわたしの手足は
真っ赤な糸でぐるぐ
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