リルケから若き中島敦への手紙/すみたに
 
うことができなかった。
 龍は義務や使命であった、
 しかし、呑みこむことでそれは欲せられる使命、
 つまり秩序=要請となるのであった。
 彼は恐らく、欲するがまま、徒に詩作をつづけたのだろう。
 毎晩毎晩、問う事を置き去りにして。

 血反吐をはいてかくというのはよく言われる。
 が、しかし吐くのは、書いている時ではない。
 それは書かれる前、答える瞬間にはかれる血反吐に外らない。
 血反吐とは答えなのだ。
 書かねばならないことを痛みとして身体に刻みこむのだ。
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