泣き女/そらの珊瑚
 
わたしのなかに泣き女が棲んでいる
彼女はただ静寂なかなしみだけの世界にいる
声も持たずに泣いている
泣くという行為が彼女の全てであるように
花よ、咲くなと泣いている
花が、咲いたと泣いている
ひとつの例外もなくいずれ散ってゆく
白いはなびらが
別れが
見えているのだろう
その先にある再生もまた
彼女にとっては涙であるのだ

生きていくのはかなしいと泣く
けれどかなしいだけではないことを
そろそろ彼女も知るころだろうと思う
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