栗の実/あろん
 



寄りそう栗の実は
獣の皮を着る生きものが身を隠しているようで

汚れた茶色が
人の暮らしを揶揄したようで

眺める

いつもどのようにすごしていますかの問いかけ言葉が

曇り空に今朝の記憶として
木の葉から吹いてくる小さなカケラにつつかれ
額を髪をふりはらう

やさしすぎるとかそうやってとか
計算式のような顔で過ぎゆく問いに堪えがたいなら

この栗の実よりも
衣を重ねるしかないよ



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