その一人の為に。/元親 ミッド
 
“あなたの詩は、なんというか
 詩人の書いた詩ではなくて
 詩人になりたい人が書いた詩だ――。”

と、黒づくめのその人は言った。



“かたくるしい詩だね。”

とだけ愛嬌たっぷりのモテ男が言った。



“イイネを押すほどでもないんだよね。キミの詩は。”

と飲み仲間の男が言った。



“見せて。”

といった女は、感想は何も述べずにふふんと笑った。



誰のこころにも届かないのかもしれない。



そう思うと
一人、宇宙の彼方にでも放り出されて
上もない
下もない
前も後ろも、右も左もない
そんな寒くて暗いところに
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