羊王/Seia
羊の顔をした王様が
宝の山に
背を向けて
ばたりと
雪崩れ込む。
なんでこんな顔になったんだっけかなぁ
背中にエメラルドが、金塊が
ちくちくと主張する
壁画にはこの国の歴史が
滑稽なポーズを決めていて
出てくる登場人物もまた
様々な動物の顔をしている
猫、鷹、コンドル。
蛇、狼、熊、フクロウ。
王の血を引くものたち。
右手で顔を撫でるとなんだか
かなしいやらおかしいやらで
背中に刺さった切れない宝剣が
いつまでも、いつまでも抜けない
草以外のものも食べられるんだけどなぁ
羊の顔をした王様が
宝の山に
包まれて
ぐすりと
ちいさくないた。
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