心配性/c
かえる場所をさがす
証明写真をとるために
切りそろえた前髪
と一緒に、どこかに
忘れてきてしまった
きみの帰る場所は」
(ささくれた右手の
親指から流れる赤は
泥水のような珈琲に
たらした白並みに
頼りないものだ)
くしゃみをしたかったのも
忘れてしまうほど
美しい/うつくしい(
冬の午後は素早く指の間を
すり抜ける
つかまえようと
手を伸ばしても
親指がないんだ」
ピアノを弾くように
パソコンに向かう
なんて出来ない
「届くはずないよ
届くはずないの?
ただ、わたしの両手は
暗譜していた
キラキラ星を
弾いている
かのように
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