鋼鉄の羊。/元親 ミッド
と向かおう。
自らをいけにえとする為に。
あるものは嘆き
あるものは叫び
そうした
悲痛なる他の羊たちの鳴き声の中に踏み出せば
羊の群れは、たじろぐように道をあけ
いけにえの祭壇に向かう一本道が開けた。
そのただ中を一人
覚悟を握りしめながら
睨むように前を見据えて
静かに、静かに、
歩みを進める。
だが
簡単に命を落とすつもりも無い。
やすやすと勝手にはされぬ。
逆に相手の喉に噛みついて食ろうてやるわ。
羊は羊でも
普通の羊とは違うのだ。
己は「鋼鉄の羊」であらねばならぬ。
理不尽なる世の中に
敢然と立ち向かう
「鋼鉄の羊」。
理不尽なる世界にあって
正しいことを
正しいと言える
そんな
「鋼鉄の羊」でありたい。
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