漂着物。/元親 ミッド
 
その男は、孤独から目をそらして
刺激的なことや、快楽的なことばかりを追いかけて
空虚を笑いで満たそうとしてきた。



さみしそうなパルフェタムール。
冷めきったこころを麻痺させては
...そうして、自分は前向きだと思い込むことで
どうにか日々を過ごしていた。



10月の海には人けはなくて
あれほど鬱陶しいと手をかざした日差しも
すっかり弱々しくなっていた。



潮風は強く吹き付けるけれど
冷めた分、潮の香りもまた弱かった。
ただ、波だけは、あの夏の日の倍ほどはあろうか
高く押し寄せては、白く泡立って弾け、
嫌がる砂浜をなでまわしていた。


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