薄紅いに染まりし夕暮れ/石田とわ
 
のだ

    萎れかけた名もしらぬ花を片手に
    家路まで手と手をつなぐ
    サンダルの音も軽く
    隣にあるという
    それは確かな夏の夕暮れで
    ガサゴソとうるさいビニール袋が
    消え入りそうなそのときを
    より確かにしていた

    うっすらと紅みをおびた踵が
    ぶらぶらとゆく姿は
    夏の夕暮れそのものだから
    にぎやかなさびしげな
    夏はいまも続く
















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