紅で尖る 暗闇の跳躍/黒ヱ
ダンスフロアで 泣きながら蹲る(うずくまる)
猫達が 何食わぬ顔で ただじっと見ている
はんなりと澄ました顔が 思い浮かんだ
「好きな人」に貴女は 何時の間になっていた
「もっと、殺伐としていこうよ」
柔らかに丸み 沈み行く橙の泡
周りの暗いインクに滲み(にじみ) 消えて行こうとする
やがて零した様に反転し 闇々 広がった世界は
また思念の霧を 深く覆い被せる
「もう一度だけ 魔法を、もう一度だけ」
テレビの板の中で 素知らぬ顔達が笑い語っている
そこから嘘で浸食され 自分を見失いつつある僕ら
それでも信じれる物はそこにしか無く
何で信じて 何を確かにして 生きて行くの
「あなたは、宝物だから」
その拭い切れない 絡み付き続ける棘(いばら)
ずっとずっと闇の中で痛む それでも
1つずつを 一緒に血を滴らせながら解いてくれる
その手を待っていた
「そう、大切だから 無くさなかった」
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