dark despair (ダークディスペア)/元親 ミッド
見上げれば
漆黒の闇におわす 孤高なる者は
こうごうしくも おごそかに
今、クラウンの輝きを戴いている。
美しきものを美しいと思うのは
美しくあってほしいという願いか
もしくは勝手な思い込みか。
労働者の手に握られたものは
樫の柄の赤いツルハシ。
ところどころ錆びの浮いたパイプスコップ。
触角のようなバックホゥのレバーとか
或いは、粉っぽいデジタルカメラとかだった。
ここでは誰も、生きる意味だとか希望だとか
そういった話はしない。
ただ、喰うために働くという
シンプルで本能的な、
そんな理由しか持ち合わせなかった。
夜が明ければ、明
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)