白い猫の話/MOJO
 
いて、帰宅すると、玄関扉のまえで、中へ入れろ、と鳴くのだった。
 猫缶を喰い、水を飲んだ白猫は、ベッドで寝ころぶ私に甘えに来る。抱きとって胸の上に乗せる。あのゴロゴロ音が私の肋骨に響く。そして私は充足する。
 そんな日々が半年ほど続いただろうか。しかし、白猫は自分のテリトリーを確保するのに必死であった。
 本来、繁殖期以外は単独で生きる猫は、個体ごとにテリトリーが決まっていて、他の個体がそこへ侵入すると激しく攻撃される。白猫は小ぶりで片眼、しかも後肢に障害がある。戦う前から結果は見えていた。私は吹き矢を作り、白猫を虐める他猫たちを狙おうか、とも考えたが、猫には猫の社会があり、人間が関与すべき
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