白い猫の話/MOJO
良い猫であった。眼の色が左右で違っていて、神秘的な雰囲気を漂わせていた。
宿無しになった彼等が気の毒で、私はスーパーでなまりぶしなどを買って、彼等に与えた。そんな事が一週間ほど続いただろうか。活発で姿かたちの良い方が大通りにまで出張り、クルマに轢かれ、あっさりと死んでしまった。
残った方は用心深い性格なのか、いつも同じ所にいる。私は残った方に傾倒した。餌と水を与え、寒い時期には、自室に入れて寝かせた。
私の大家の家屋はアパートと地続きになっているが、そんなことをする私に文句を言うことはなかった。寛容な大家である。
白猫は、次第に私の飼い猫のようになっていった。私の外出時は、外にいて
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