うずくまる灰色の塊。/元親 ミッド
ィガンだ。
踏まれて、蹴られて、道の脇
落とした人はどうしてるだろう
或いは、こいつは捨てられたのだろうか
つったって眺めていると立ち眩みがする。
群衆のうねりが、せわしいカラスの群れに見えた。
お前が行けよ、いやお前こそ行けばいいじゃないか
どうやらそんなことを口々に言っていた。
もしかすると
灰色のカーディガンは、真っ黒になれなかったから
仲間に入れてもらえなかったのかもしれない。
それほど遠くない埠頭で、もくもわ、もくもわと
尋常ならざる黒い煙が上がってた。
その日、街は混沌の渦だった。
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