続続・田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
を律していくことへの拒絶が語られています。しかし、ここまでは本当の遊びではありません。
次を見てみましょう。「ほんとうにそうか/ほんとうにそうなのか」。そして、それ以前とは違った木の在り方の可能性について語っていきます。このような、直線的ではなく、旋回し、反転するような詩行の動きはかつての田村にはほとんど直接的には見られなかったものです。かつての田村は、基本的に詩において直進を続けていた。まさに、何かしらの現実の目的のため労働するかのように。ところが、ここで田村の詩行に、明示的に、立ち止まり、振り返る、という余裕が生まれてきます。このような思弁は、まったく無益で、何の役にも立たないかもしれない
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)