秋風がさようならと言っている。/元親 ミッド
10月も、もうじき終わってしまって
きっと僕らは置き去りにされるのだ。
秋風がさようならと言っている。
一々、挨拶などいらぬのに。
ただ一羽、乾いた秋空の高い処をすべっていく鳥の
あのさみしそうな感じはどうだ。
煙草の煙は、非常階段の手すりから乗り出して
その鳥に触れてみたいと、その手を伸ばしてみるのだけれど
到底、さびしさと自由とを、同時に手に入れた
一羽の鳥を捕まえることはできなかった。
人と人とは、同一の言語でなければ
会話が成立するのは難しい。
だから、世界共通語なんてもので
会話をする必要がでてくるんだ。
だけど、僕にはキミの話す言葉がわからず
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)