【 金木犀と月 】/
泡沫恋歌
くの昔に別れてしまった
娘がひとり 家庭があり 家もある
世間並という言葉で語られる
そんな普通の人生を送っている
だが 満たされてはいない
あの頃の私はどこへいった
何かが足りない
足りない……
金木犀の香りで
心がタイムスリップしたら
道の途中に大事なものを置いてきたことに
気が付いた
どこに置いてきたんだろうか
『ホントのわたし』
振り返り 振り返り
ペダルを漕ぐ
そんな私を月が笑って見ていた
2012/10/25
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