遺書にはならない足跡 2/セグメント
 
び現れることはなく、私も疲労していた為か、眠りに落ちた。恋人は少し警戒していたようだが、私と物理的距離を取ることなく一緒に眠ってくれた。
 翌朝、私は起きた。いつも通りの朝だった。

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 近況でも話すとしようか。最近では、人格が入れ替わることもなく過ごしている。そう聞くと、平穏無事のように思われるかもしれないが、そういうわけでもない。不意に入れ替わろうとされる瞬間が時々、訪れている。もういっそ、全てが気のせいだったらいいと思う。人格云々も解離云々も、入れ替わりも、私の気のせいだったという結末なら、私はとても楽になれる。
 ふとした瞬間に、「彼女」と「自分」が入れ替わってしまいそう
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