シャネルno.68/月乃助
 
 人とつながらないように
私の携帯は、水の中
早瀬の岩のしたで 眠っている
青白い光を 蛍のように
灯しながら



    ( でも今宵は、)



 あやうくて、
妖しくて
作り物の宝石のような夜に
酔いたくなる


 賑やかな男が 欲しくなって
約束のある女の顔で
使い古しの 紅をひく


 守れるものは ほんの少しだけ、
手の中に残った 
その重さを確かめてみたくなる
幸せなんだと 
私の肩に言の葉の小石を重ねる
君に会いたくて 


 知らない
街に立つ 夜






戻る   Point(7)