霖雨/マーブル
 
に消えてしまう半透明な存在意識。私は、「臨場感のある生活ってどんなんだろな」と、考えていた。


街を歩いている感覚でさえも浮遊しだし、本当に私は、透けてしまうんじゃないかと、街を歩く度、思うのである。
帰りの電車なんかはいつも。乗車している人間の顔や感情は最早なにも、感じたくない。
重たい鉛のような目をし、ただただ、見えないふりをしている。しかし、景色だけは違った。
過ぎ去っていくビルのネオンは、すーっと流星のようにカラフルに吹き飛んでいるし、ちょっとした小さなクラブパーティーに
ぶら下がっているミラーボールの光の粒子みたいに、実に愉快なものだった。
空の雲を見るのも、夕陽がじわじわとしずんでゆく様も、どれも素敵だった。
だから私は、窓際が好きだ。座っているより、手すりに身体を凭れて、携帯電話も触らずに
景色を意識に写し絵するのである。



 いつの間にか、雨音はしなくなっていた。
 夜明け。
 4:20







戻る   Point(5)