構造主義ーポスト構造主義批判のためのノート 1/るか
 
パラダイム概念とエピステーメー概念の齟齬にあるという喩えも、また、あるいは成立しうるかも知れない。左翼運動の学生リーダーであったレヴィ・ストロースが、政治から離れて未開文明の研究に向かう姿が、アメリカの反戦運動の、自然=ヒッピー=エコロジーへ、という動線とパラレルな軌跡を太く描き出しつつ、意識から無意識へと向かったフロイトの行程を髣髴とさせる事実をドラマチックに語らずとも、ラカンの構造主義もまた、既成左翼に批判的なサルトル-フォロワーだった、ドゥルーズやデリダらに批判的に摂取される。そこにあった政治性、イデオロギー性については、科学的理論の衣装において余り注目されてこなかったこともまた、改めて問われなくてはならないと書きうるだろうことは確かではないか。
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