雨宿り/深水遊脚
 
手廻しミルのハンドルが飛んだ
散らかったコーヒー豆の破片が
映し出す記憶が全て
重なって出来た白色



試験間近の高校生たち
ノートに書き留めた言葉で
妄想の歴史旅行を始めるための
正確な呪文にはいつもどれかの言葉が
不足している



本棚におかれた絵本を手に取る
少し前ならば教訓の欠片くらいはさがせた
さがすことが正しいのかわからない
そもそも正しいのか否か どちらでもよい
などと物分かりよさげに振る舞う嘘をまた重ねる
そう思いきれていないから
いつまでも鍵が見つからないというのに



濡れた上着と靴が乾くまではここにいたい
傘がないわけ
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