風のなかの詩人たち/石川和広
優しく、暖かく、凍みてさえ、形のないまま、ゆるやかに
そして、強く語りかける。
だから、言葉は古くともいつも読む人に新しい。
「風が吹いているのに
私の苦しみには理由がない。」
そして本当に
「理由がないのだろうか、」
ここには誰もが感じるのだろう、
自分が何か大切なものと通じ合えていないことが、
見えない痛覚とともに
うたわれている。
そういう時、僕らは風を手にするのだろう
そして、かろうじて、大切なものの感触が
感じられるだろう
それは、世界とのかかわりの、にんげんに、再生する細い風の音か
*参考、引用文献
◎ユンドンジュについて
「纜」3号 もず工房2002
◎竹内浩三について
竹内浩三著、小林察(編)「戦死やあわれ」岩波書店2003
*批評祭参加作品
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